26 西鶴
井原西鶴は多作な作家である。もっともっと読まれていいはずだが、代表作が『好色一代男』などと好色とつくので、好色文学と見られてあまり歓迎さレないのではなかろうか。これは日本人にとって大きな損失である。
吉行淳之介現代語訳『好色一代男』、河出書房新社
吉行淳之介現代語訳『好色一代女』、河出書房新社
27 サルトル
サルトルはノーベル文学賞の受賞を拒否した。その理由は知らないが、それだけでも私が生きた時代の最大の思想家・作家であったと思う。だから、サルトルはこんなところでなく、1番に書かなければならないのだが、そうするとどの作品をあげるか迷う。
『実存主義とは何か?』は期待したものの、「実存主義は共産主義である」と言う結論にはいささか失望した。・・別に失望しなくても良いのであるが。彼の思い描く共産主義が実存主義的であったと思えば良いのであろう。実存主義の哲学が汎神論の哲学からの脱却であったとしたら、共産主義もまた汎神論の哲学の否定であるのだから、兄弟のようなものか。
サルトルには『嘔吐』と言う20世紀を代表する作品があるではないか、と言う人もあろう。残念ながら、私には『嘔吐』の面白さも意味もわからない。