11 陰騭録
命(めい)は命(いのち)である。命(めい)について述べるのが道学である。
天命とは先天的に扶余されたものである。
後天的に変えられるから運命となる。
それを否定するのが非運命すなわち宿命ということである。
宿命論にとどまるのではなく、積善によって変えられる、すなわち「運命」を自ら切り開くことを説いたのが袁了凡の「陰騭録」である。
西澤嘉朗著『陰騭録の研究』(八雲書店)の安岡正篤の序文より
袁了凡「陰騭録」 石川梅次郎注解 明徳出版、中が奥古典新書
西澤嘉朗著、安岡正篤序、『陰騭録の研究』、八雲書店
の安岡正篤、『立命の書「陰騭録」を読む』、竹井出版
12 史記
通して読むには、明治書院の「新釈漢文大系」が良い。併し、福山市立図書館のものを利用したので、手元には全てはない。現文だけならweb上にある。
入門書としては、武田泰淳氏の『司馬遷 史記の世界」(講談社文庫)が我々の世代には定番だと思うが、私は高校に入ってすぐに読んでいた中島敦『李陵・山月記』(旺文社文庫)が、やはりよかったと思う。
13 天皇の世紀
大佛次郎さんの『天皇の世紀」は私が高校のとき朝日新聞に連載されていた。それも普通の連載小説とは違い字数も多かったように思う。しかし、私には歯がたたなかった。歴史小説を読むという経験が足らなかったということである。
これも福山市の図書館のもので読んだ。最後の2巻がなかったので広島県立図書館から取り寄せてもらって、最後まで読めたのは幸いであった。
14 ローマ帝国衰亡史
中野好夫さんの最後の大仕事であるが、途中で亡くなり協力者、そして息子さんが跡をついで完結された。筑摩書房の単行本である。勤務校の図書館には何冊かはあったが、揃ってなかったので、結局1巻から購入した。勤務校の図書館にはついでだから揃えておくようにと頼み、そうなった。トインビーが教会は文明の墓場か、文明の揺り籠か、と書いている。こちらは墓場の方だろう。キリスト教がローマ帝国を滅ぼした。確かにそうだろう。しかし、それゆえヨーロッパというものが生まれる元となった。今に至る工業化文明はキリスト教とともに生まれたのである。その現在の方向が人類にとって正しかったか間違っていたかは誰にも話からない。しかし、この工業化社会、温暖化をはじめ各種の誤りで我々の住む地球そのものを痛め続けている現代の流れは間違っているが、誰にも変えられない。その厳選はキリスト教文明にあった。しかし、キリスト教もそれを変えることはできない。だから教会は文明の揺り籠であったとともに破滅への乗り合い列車でもある。
15 平家物語
岩波から緑色の新日本古典文学大系が発刊された時、全目録を見てあまり感心はしなかったが、岩波教の私としては千載一遇のチャンスであるので、広大生協で予約して購入した。5%引きだったと思う。それで、平家物語は発刊とともに読み始めた。上巻が終わった頃には下巻も発行されていたので、間を開けずに引き続き読めたのは良かった。