2019年11月30日土曜日

重井町の方言

方言


因島重井町の方言を集めるが、これがどこの地域まで広がるかは決めようがない。

 イナ:(魚名)ボラの小さい時の名

 うんまあ:おいしい。食べ物がうまい、美味しいこと。

 用例:こりゃうんまあのう。(これはうまいですねえ) 

 「うんまあのう」

 えらい:しんどいこと。

 「ああ、えら。えらかった。そりょうするんはえらあのう。」

えんしょう 焰硝:火薬を紙の上にくるんだ、子供のおもちゃ。
 小さい塊がテープ上に載っているもの。ピストル型のもので連続的に打って音を出した。陸上競技のピストルの弾状のもの。四角の紙の上にあり切って使った。

 えんぼう:(農具)藁筵で作った容器。半分の高さのものを「芋えんぼう」と呼ぶ。イグリと呼ぶ人もいるが重井では言わない。茅で作ったものを「かやえんぼう」という。

 

 おうく:天秤棒。2つで1組の荷物を担いで運ぶ。特に芋えんぼうに入れて運ぶ場合が多かった。2組で1荷(いっか)、1個では片荷(かたね)。芋えんぼうが3個あれば1荷片荷(いっかかたね)と言う。(参考)とんぎりおうく:先端が尖ったおうく。麦や藁の束ごと突き刺して運んだ。

 おんまく:たくさん

     「おんまく 食べる」 


 貝ほり:潮干狩りのこと

 カイカキ:(農具)柄の先に三角形の鉄板のついた草取り、貝掘りに使う。

 乾燥庫:(農業施設)葉タバコを乾燥させる土壁の建物。 


 こぶる:畑の上を通りすぎていく

    「こぶんな!」

 こまで:(農具)柄の先に3本の棒のついた草取り具。鍬の小型のもの


 さかお:蛇の一種。毒蛇でなくごくありふれた蛇。

 さかる:交尾する

 「犬がさかっとった」「うさぎをさかららす」

 さげる:潮が引いた状態。引くこと

 「まだ、さぎょうる」「ようさげとる」

 グロ:真ん中に棒を立て、その周りに稲藁、麦藁、除虫菊の茎を円柱状に重ねたもの。稲藁積みのこと。

 ズガニ:淡水に住む毛ガニ


 タンポ:干拓地の悪水をためる池。干潮時に樋門を開け排水する。潮回し、潮廻しが一般的か? 因島南部では潮待ち。

 タンボラ:タンポの中にいるボラ



 ちんぼう:男性器のこと

 ちんぼさし:(昆虫名)ミズカマキリのこと


 てご:手伝うこと

 「てごうする」


 とらげる:片付ける、しまう

 「タンスの中へとらげる」


 やげろうしい:「野下郎しいか」?片付いていないこと。散らかっていること。

 

 やなぎば:(農具)短い柄の先に柳葉状の金属のついたもの。種を蒔いたり、株を植えるときに細く掘るのに使う。

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えんぼう
 藁やカヤで作った丸い容器。コンテナの普及で使われなくなった。
 藁のむしろ状のもので周囲が囲まれ底があるものが、普通はえんぼうと呼ばれた。
 高さが低いものが「いもえんぼう」でサツマイモ等の運搬に用いられた。

おうく
 天秤棒のこと。

おおがあら 
 重井川のこと。大河原か。

ぐろ
 稲や藁を畑や空き地に積み重ねたもの。ただ置いているだけのものはグロとは呼ばない。中心に棒を立てその周りに丸く置いて円柱状に積み上げたもの。
 稲わら積みのこと。稲と麦わらで作った。

げし
 法面のこと。特に草が生えているところ。段々畑の上下の、石垣を積むべきところが、土のままで、草が生えているところをげしという。

さげる
 潮が引くこと。干潮になること。
 用例:潮が下げる。今下げている。下げ底、

なーらーがーら
 一町田の中央を流れる小川。菜洗い河原が訛ったものとも。

じょうがた
 漁師のこと。重井には漁師はいなかった。時々、家船がある期間滞在することがあった。その人たちを「じょう型」と呼んだ。

ちゃっちゃ船
 発動機付きの農船のこと。発動機の音がちゃっちゃちゃっちゃ・・と聞こえたので。
 

ばあ 
 ばっかり
 用例:雨ばあ降る。

はまじょう(浜場)

べった
 子供では「メンコ」と呼ばれた丸や四角の紙ででき遊具。
 大人では花札のこと。
へリーボート
 フェリーボートのこと

むし
 ゴカイ、アオムシのこと。魚釣りの餌。

もーやん
 子守女のこと。時に男もいた。だいたいが子供。家に雇われていた。