2026年3月18日水曜日

441-450 増補版

 ふるさとの史跡をたずねて(441)

          

重井村四国八十八ヶ所の碑(尾道市因島重井町一本松)


 紙に書かれたものを保存するのには骨が折れるが、石に刻まれた文字は、特別の場合を除いて、永く伝えられてきた。しかし、長い年月を経るうちに風化されたりして意味がわからなくなることもあるし、また書かれている事柄の背景やら状況がわからなくなるものも多い

 重井町一本松に建つこの石碑は、町内に散財するものの意味がわからなくなっていた石仏、石像、石堂などを、かつての村内で構成された八十八ヶ寺として整備したことを記したものである。

 しかし、残念ながら書かれている重井村四国八十八ヶ所の地図も範囲も書かれていない。ただ、そのような写し霊場があるということが、この石碑を読んだ人にはわかるようになっている。

 不親切と言えばこれほど不親切な案内板も少ないだろう。しかし、考えてみれば遍路というものに限らず、何かを探すということは、それ相応のエネルギーを必要とするものである。すなわち各人の主体的努力を要するものである。だから存在があると言うことを知らせるだけで十分だと言える。あると言うことがわかったのだから、個々の場所なり地図などを探したい人は、その人が努力をすれば良いのである。

 例えば、他人に聞くのが億劫な人は、まずスマホに呼びかけるであろう。そのキーワードは石碑の文字の中にある。

 そのように考えると、この大きな石碑はそれなりに意味があることがわかる。




写真・文 柏原林造