がうべし、かんにん等すれば何事も
たいていなるものなり、しかりといしへども
勘忍なりがたき事をすすめわ
せぬ、かんにんなるべき事計りいふ
なり、いかんとなれば、たべもので
申ませう、うまきものかうみのもの、
これをたへるときに、うまいと思ふは、
とこぞや、誠にたヾ舌のうへ二寸か三寸
かの所なり、外にうまきおしる所
なし、此舌前あいしか、わゆがりす
ぎての事なり、すこしでもうまく
ないものを、くらいばしたの上がわる
いといふ、それを舌にかんにんせよと
いへばよけれども、おい〱とゆふて
すみない〱とゆふてくわぬよふ
にし舌のきげんばかりとりているに
よつて、たべものにこのみがついてかう
み、ひしよく斗りくらふ、見に持ちには
ふく病出米て、なんぎとなるもの
なり、そのときには、しにとむなさに
右々はもみない〱ときゞいおつに
そはんけじき、おくらふよふになる何
ゆへなれば、いしやどのがどくだんじと
ゆふて、かうみなるものや、うまきもの
はやめさして、のみにくいくすりお
おあたへ、これをよい所なくのむなり
是をもつて舌にあんにんさすがよ
し、酒肴はかげんして、くすりのうち
にかんぞうや、みつの入つたくらいにはよし。
これは舌のかんにんなり、これからはき
るいのかんにんなり、何ほどよきものを
着ても冬にあわせ一まいでは、いられぬ
二三まいは着ねばならぬ、としよき
着もの一まい有ときは売かへてふる
着の三まいにもせにやならぬ、然らば
かんにんならぬ事なし、あんずるにその
はづじや肉身は、ふじゆうのかたまりなり
ちよと申すなれば目はめくそ、耳は耳
くそ、はなははなくそ、しりは
もちろんなり、これなしらば、うへに
多く着るいばかり改めてもあかぬ
ものなり、肉身の内に清浄なる
ものはなにものぞ、これお吟味して
きよくするがよし、左有によつて
古人は美なる事をこのまずして
実につゝしむなり、これも忍に
あたるものなり、まづうつくしきも
のを着れば、わが身へたつよふに思へば
わが身の為に中ふんで、すますがよ
し、亦住所の事か申すなり、よき
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