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「因島市史」p.915に紹介されている好然法師筆写本のうち観音和讃です。
観音和讃
観音大悲之夢之誥我等者不生不滅也
過厺七佛之其内デ釋迦牟尼世尊ニ呼ビ出サレ
衆生済度之身ト成リテ衆生之苦患引導ケリ
安楽浄土エ勧ムレド 貪欲嗔恚ガ引キ留テ
観音大悲の夢の告げ 我等は不生不滅なり
過去七佛のその内で 釈迦牟尼世尊(しゃかむにせそん)に呼び出され
衆生済度の身と成りて 衆生の苦患を導引けり
安楽浄土へ勧むれど 貪欲瞋恚(しんい)が引き留めて
行気ハ更二出サセヌゾ 兎角迷ハス胸之中テ
正面向キヲバ佛顔ヲ面モテ計リヲ振リ捨テ
行気は更に出せぬぞ 兎角迷わず胸の中(うち)
正面(おもて)向きをば佛顔を 面ばかりを振り捨て
誠で願え観世音 金銀とては入(い)らず道
唯平常(へいぜい)の心持ち 御上のご恩を先に立て
親に孝行一の事 その上他人も親類も
睦まじうして今日 これらの心が人の道
兎角腹をば立てぬ事 忍辱(にんにく)柔和なるが
由し惜しひ恣ひが深くして神や佛を祈る故
何で感応ある者か 一心不乱に真を据え
祈りて見たるその時は 天地も感応有るとかや
それらの心を振り捨てて 一文餅を買うような
心で祈る神佛 如何で感応有りはせず 兎角
真似にも慈悲がよい 前世
の報いか今ここで 現れ出たる是非も無や かかる
有様見ながらも 仁心慈悲の起こらずは見ながら
落ち入る穴の底 己と作る地獄にて 神や佛も
手がとわず引き揚げ玉え観世音 これは何故
西国の札所に懸ある御誓願 五逆消滅
成佛と 誓いの誌(しるし)有るからは 今日まで盗みした
人も 悪心残らず振り捨てて 元の心で願うなら 遅い
速いはとにもあれ 極楽往生違いない 然からば祈れ
観世音 たといこの世は貧もあれ 又富貴成る人
は なお飢えつ寒(こごえ)つする人を 助け扶くは誰が
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観音和讃2
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