重井村四国八十八ケ所
瀬戸内海は人や物を運ぶだけでなく、人々の考え方も伝えてきた。弘法大師信仰や四国遍路も島から島へと伝わり、1816年(文化13年)白滝山上に四国八十八ケ所御本尊が勧請された。その後、人々の思いはふたつの行動となって広がった。重井村内を巡る重井村八十八ケ所札所をつくることと、お金を積み立て毎年何人かずつ四国巡拝をする講を作ることである。これらは互いに補いあい、1847年(弘化4年)二百人講としてはじめられた講は、二百人を超え、1851年(嘉永4年)末広講と改められた。重井村八十八ケ所は一の宮から始まり重井村内を時計回りに巡り、一本松で終わる。各札所にはご本尊と弘法大師像が安置された小さな石堂が作られた。それらの中には末広講ができる弘化4年以前の年号が刻まれたものから、末広講の文字の彫られたものもある。中には再建の文字もあり、世代を超えて守り続けられたことがうかがえる。このような貴重な文化遺産を長く継承していくために因島重井町文化財協会は、(一社)中国建設弘済会の助成を受け、また因島重井町区長会の協力を得て調査研究ならびに整備事業を行った。これからも多くの人たちに親しまれ、長く保存されることを願っている。
令和3年(2021年)1月吉日 因島重井町文化財協会
裏面
事業名 重井村四国八十八ケ所整備事業
整備期間 2018年度から2020年度
助成支援 (一社)中国建設弘済会
協力 因島重井町区長会
石碑製作施工 𥸮原石材
整備事業者 因島重井町文化財協会