南地もまた申ま志まし土佐の国で出 南地もまた申しましまし、土佐の国で出
入りを見ても卯より出て酉ニ入小国 入りを見ても、卯より出て酉に入り、小国
の人か見ても卯の出て酉の入なり の人が見ても、卯の出て、酉の入なり、
よこの里数ハ何程ぞと云共じしや 横の里数ハ何程ぞと、云うとも磁石
くのをり筋ハ小いさきその然る時 の折筋は小さき、その然る時、
よこに人をならべてじしゃくをひき 横に人を並べて磁石を引き寄
よせて見る時ハ壱人壱人の卯のけん せて見る時は、一人一人の卯のけん
より出玉ふにハあれやこれをとつて より出でたまふには、あれやこれを取って
土佐の国より北国までのよこ人を 土佐の国より北国までの横人を、
おけバ何程もつりがき左有時 おけば何程も釣書、左ある時、
日月かず一ツずツかかり幾万も有るハ 日月数一つずつかかり、幾万もあるは、
これもふしんにハあらずや猶又子星ヲ これも不審にはあらずや、なおまた子の星を
江戸で見ても子のほしハ子に御座る 江戸で見ても子の星は子に御座る。
長崎で見ても子のほしハ子に御座る 長崎で見ても子の星は子に御座る。
これも一ツずつかりに幾万も御座在る
心有人ハかんがうべし天を開く人世に
まれなり然りといへども人にハ皆々
迷惑あり此迷惑を質をとつて
かくして質ハ土の如く明徳ハ天三光
の如くこれ合して気質と云ハこれ
をふたつにわけて明徳を明にすると
大覚に有ル語なりと見へたりかる人に迷惑の
あらざる人ハ壱人もなし左有るによつ
てむだに日をついやしてよりハ家業
ひまあらば道徳の有ル御人の所へ行て
明徳のわけをわけて変わらぬよふに
為さるがよし然りといへども道を開き
たる人世にまれなり學者多きとの
なりいかにとなれバ妙徳を明に世ハ
んじて道をいふにあらし今ハ色々
くふうを付け前生をすてずして明
徳を明にしよふに思ひ亦佛者ハ
座ぜんくふうをして明了八達をし
たよふに思ひ是ハ大きなまち
がいなりいぜんとかれバ前文に記所の
天三光のとをいやらちかいやら日月ハ
いくつ御座るやら◻︎つやら天を開て
見る事凡人にてハでき申さず
予が歌に
日の毛と二ハ いづくなるらん 立山の
雪は消えぬに里 をよ
地のことを記ス
田地はじまりてより此方毎年
いねを作り数々取申せども少シ茂
田の土へり不申 又畠物とても左の通
なり然る時ハ何ものが作ものにハな
るやかんがえべし 木かやにても同
事なり へざる山は土の
ましへりなし 生とのたぐひなに