伝説とロマンの島 因島城跡物語 著者 柏原林造、住原俊治、村上知之
第0景 はじめに
山歩きの途中、城跡と呼ばれているところがあれば、登ってみました。山頂は平らで、周囲は岩や斜面で切り立っているだけです。瓦でもあれば、お城のイメージもわくのですが、ありません。掘建て小屋のような砦があったのだろうか、と思うばかりです。
因島には土居(土井)という地名・字(あざ)がかなりあります。砦と居館を兼ねた中世(鎌倉時代~室町時代・安土桃山時代)のお城があった名残だそうです。土居城と呼ばれている所も2ヶ所あります。
調べてみると、鎌倉時代は因島は朝廷や東寺の所有地で、その後管理を任された有力武将が建てた城とか、戦国の時代には因島村上氏が建てた城もあります。因島には多数の城跡があります。今回は、24の城跡を紹介しました。
そこで、各城の配置を絵にしてみました。何しろ400年以上も前のことですから、本丸・二ノ丸などの建物や絵が残っているわけではありません。本丸・二ノ丸などの呼び名も後世のものですから、厳密に言えば正しいものではありません。ここでは便宜的に使っています。田中稔「因島史考」や広島藩が編纂した「藝藩通志」などの史料をもとに、共著者が現地を探索し、海岸線や城・郭(くるわ)の配置を決めていきました。そして中世の山城の想像景観図などを参考に、簡略化した家や物見やぐら・旗などを配置しています。史実の説明の絵ではありません。伝説、ロマン、物語とフィクションであることを強調した所以です。
往時の因島のひとつの風景として、ここは昔は海だったとか、あの山この山にもお城があったなどとイメージしながら、楽しんでご覧いただけたらと思います。
2015.6.30. 中庄側から南東方面を見た図。
因島城跡物語短縮版