2015年11月22日日曜日

序章 

目次

0-0 開講にあたって   
古い講義ノートをブログ版として再掲載します。以前、いろいろなタイプでweb上に載せてありましたが、おそらく今はこれが唯一のものだと思います。
思えばあれから、PCそのものが大きく変化しました。はじめはNECの文豪ミニ7というワープロで作り、さらに文豪ミニ7Eと併用し、次にWinndows95で一太郎を使いました。
今回はそれらのうちの残っているものを使いますが、一部は今の心境に合わせて変えてあります。 2015.11.22.
と、方針を述べたものの、化学につきものの分子式を表すことが難しいということがわかった。やはり、ブログでは難しいようだ。ということで、このシリーズは暫定的なものだと思ってほしい。どういう形態で公開するかも含めて検討中であることをお断りしておきたい。 2015.11.27.

   
 

(1) はじめに

 現代の社会は物質文明であるといわれる。これは,我々が科学技術の発達によってもたらされた多くの物質にとり囲まれて生活しているというほどの意味である。しかし,科学技術の発達がすべての面で良く作用したかというと疑問である。物質文明と呼ばれているものは我々に何をもたらし,我々から何を奪ったのであろうか。それに答えることは難しいことに違いない。ここでは化学の知識をもとにして,我々がどのよううな状況の中に生きているのか考えてみたい。 
そのためには,環境問題について目を向け,さらに身のまわりの物質について考えることによって化学と社会の関係を考察する。また,化学の歴史の一端を学ぶことによって科学と人間の関係を考察する。 
その前に,準備として「化学の目的」と「科学の価値」について考えてみよう。 

(2) 化学の目的

化学は物質の性質とその変化について研究する自然科学の一分野である。このような学問は我々にとってどのような価値があるのだろうか。考えてみよう。 
自然科学の歴史は長く、対象領域を拡大するとともに、様々な専門領域を生み出したが、その境界は便宜的なものに過ぎず、化学だの物理だの生物だのと言っても、その境界はどちらともつかない場合がある。
ということで化学の目的と言っても、自然科学の目的に全てが包摂される。 

(3)科学の価値

 化学に限らず科学技術や工業の発展は我々の生活を限りなく豊かにかつ便利にしてくれるように思える。このことについて考えてみよう。そしてその歴史は学問として絶えず変貌と進化を繰り返し、方法と内容において膨大な知識を獲得してきた。それは人類にとってうまく活用すれば、様々な分野で恩恵をもたらしたのは事実で、今後もそれは変わらないだろう。


0-1 化学とは  
化学は物質の性質とその変化について研究する自然科学の一分野である。
すなわち,自然界に存在する多くの物質の性質とその変化について調べ,それらを支配している原理や法則を知ることから,有用な物質を作り我々の生活を豊かにすることを目標にしている。またその知識の体系は,医学,薬学,生物学などの基礎となっている。  
化学の内容は多くの専門分野に分かれるが、それすら絶えず変貌している。

高等学校の化学は,この学問としての化学の基礎だけを学ぶものではない。大部分は,学問としての化学の基礎的な知識を学習するが,そのような知識の習得の過程において,科学的なものの見方・考え方・自然観などを育てることを目標にしている。 
参考までに,教科の目標として学習指導要領に定められているところを示す。 
「観察,実験などを通して,自然を探求する能力と態度を育てるとともに,自然の事物・現象についての基本的な科学概念の理解を深め,科学的な自然観を育てる。」 

0-2 化学の歴史                     
原始時代には,自然界に存在する物質をそのまま衣食住に利用していた。3世紀から17世紀にかけて,ヨーロッパでは水銀や鉛のような金属を金に変えようという努力が続けられた。このために考えだされた技術を錬金術という。錬金術は結局失敗に終わったが,この時に用いられた方法が後に化学として発達していった。科学的方法で物質に対する研究が始まったのは17世紀になってからである。その中心は長い間ヨーロッパであったが,20世紀の半ばからアメリカ合衆国に移った。 

課題 原光雄『化学入門』(岩波新書)を読んで,錬金術と近代化学との違いは何か考えよ。


0-3 身のまわりの物質  

われわれは物質に取りかこまれて生活している。その中には自然界に存在するものの他に,人間が改良を加えたり,新たに合成した物質も多い。これらの全てにわたって,その成分や組成を理解することは難しい。しかし,それらの中にも,これから学習していく高校の化学の知識で理解できるものも多い。そのような身のまわりの物質に興味を抱くことなく,ただ物質の知識を深めても味気ない。たえず,学習している物質や現象が,われわれのまわりに,どのような形で存在するのか考えながら,化学の学習をすすめたい。 
例えば  
チョークは何からできていますか。………… (          )  
卵の殻の主成分は何ですか。………………… (          )   
いずれも,みんながよく知っている(多分化学式で書ける)物質である。 
また,化学でしばしばでてくる物質がどこに使われているか考えてみることも大切だろう。  
鉄    ………  
アルミニウム……  
ナトリウム ……  
カルシウム ……

       


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