2015年11月23日月曜日

2 物質の構成元素

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 元素…水を電気分解すると,水とは性質のことなる水素と酸素が得られる。これらはさらにこれ以上別の性質をもつ物質に分解できないので,水は水素と酸素からできていることになる。したがって水の成分は水素と酸素であるといえる。ここでいう水素,酸素という言葉は,単体を表しているとともに分子を表しているといってもいい。また,原子だとも元素だとも考えられる。
 ……しかし,ここではこのような物質を構成している成分をいうときは元素ということに約束することにしよう。それでは元素とは一体何かということになるが,それは「原子の種類を元素という」としておく。

●●● 実験 物質の成分元素 ●●●                        
目的 4種類の物質について性質を比較し,物質を構成する成分元素を調べる。
準備 試験管小4,大8,試験管立て,試験管ばさみ,マッチ,ガスバーナー 
   薬さじ4,蒸発皿,ステンレス線,塩化ナトリウム,塩化カリウム
   ショ糖,デンプン,硝酸銀水溶液,6mol/L塩酸,蒸留水
方法
 1. 大小2本の試験管に,塩化ナトリウムを薬さじ(小)に1ぱいずつとる。同様に塩化カリウム,ショ糖,デンプンをそれぞれ別の薬さじでとる。
 (観察1)外観(色,結晶か粉末状か)[表に記入]
 2. 方法1.のそれぞれの物質について,1本の試験管(小)だけ,ガスバーナーで約20秒間おだやかに加熱する。
 (観察2)外観の変化
 3. 方法1.のそれぞれの物質について,残りの試験管(大)に蒸留水を約5mL加えて溶かす。 この溶液を二つに分けて,その一方をステンレス線につけ,ガスバーナーで熱して炎色反応を観察する。
 (観察3)炎色反応の色
 注意 ステンレス線は1回ごとに蒸発皿にとった約 5mLの塩酸で洗い,強熱して用いる。
 4. 方法3.のもう一方の溶液に,それぞれ硝酸銀水溶液を1滴ずつ加える。
 (観察4)溶液の色の変化



考察
実験で調べた4種類の物質を,二つのグループに分けることを考えてみよう。
 1. (観察1)より,4種類の物質は外観により(       )の物質と,(        )の物質に分けられることがわかる。
 2. (観察2)で見られた変化は,加熱によって化合物が分解して,水が失われ  ることによりおこるもので,実験後に残った黒色物質は(    )である。 失われた水の成分元素は水素と酸素であるから,(    )と(    ) の成分元素として(    ),水素,酸素を含んでいることがわかる。
 3.  2.から,4種類の物質は,成分元素として炭素を含む物質と,炭素を含まない物質に分けることができる。

 4. (観察3)の炎色反応から,成分元素を推定することができる。また,(観 察4)の硝酸銀水溶液との反応から,白色沈殿をつくる共通な元素が含まれていることも推定できる。

 5. 考察1.のように外観によって物質を分けるのと,考察2.〜4.のように成分元素によって物質をわけるのとでは,どちらがより化学的であるか。



問い1 ろうそくを燃焼したときに水や二酸化炭素が生成することから,ろうそくには成分元素として酸素が含まれていることを確認できるか。


問い2 ショ糖と酸化銅( )を混合して加熱すると,酸化銅( )から酸素が離れてショ糖と化合し,二酸化炭素と水を生ずる。この反応からショ糖にはどのような元素が含まれていることがわかるか。



2 物質の構成元素演習
2―1 次の文の下線部の現象によって検出できた各物質中の成分元素は何か。十分に乾燥したショ糖と酸化銅(Ⅰ)を混合し、加熱して生じる気体を冷却するとA水滴を生じる。また、その気体を石灰水に通じるとB白濁を生じた。
 塩化ナトリウムの水溶液に、硝酸銀水溶液を加えると、C白色沈殿を生じ、白金線を浸した炎色反応を調べるとD黄色を示した。 


2―2                                   
A:水素、 B:炭素  C:塩素、 D:ナトリウム
 解説:炭素や水素を含む化合物を燃焼させると、炭素は二酸化炭素になり、水素は水になる。二酸化炭素を石灰水の中に通じると炭酸カルシウムを生じて白濁する。



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