2015年11月23日月曜日

1 物質の分類

目次
1−1 純物質と混合物                              
●●● 実験1 混合物の融点 ●●●      
目的 2種の物質を混合することによって起こる変化から、物質の性質について考える。
準備 パラジクロロベンゼン、ショウノウ、薬さじ2、試験管1、ゴム栓
方法
 1. パラジクロロベンゼンとショウノウの色、状態、外観などについて観察するとともに、どこで使われているものか考える。

                                                               
 2.1本の試験管に、それぞれ別の薬さじを使って、パラジクロロベンゼンとナフタレンを少量ずつとり、ゴム栓をしてよく振る。
(結果)
                                  
考察
 1. 方法2.の結果について、なぜ、このようなことが起こったのか考えてみよ。  
 2. このようなこと(方法2.の結果)は、日常生活でも、ときに起こることである。どのようなときに起こるか記せ。


感想・その他気付いたこと
片付け
 試験管内の混合物については教師の指示に従って処理する。その後、試験管、薬さじを水道水で洗い、教卓の上のステンレスの洗浄カゴに入れる。


 上の実験結果の考察については、以下の学習をすすめることによって、より詳しく考えることができるようになるだろう。
 まわりのものを見回すと、
   海水、水、水道水、食塩水、
   砂、
   紙、
   チョーク、
   鉄、アルミニウム、
   ガソリン

…… いろいろあるが、多くの物が混合物からできてきる。
 化学で扱うには、それらの物を全て同じように扱うわけにはいかないだろう。それで、特性に応じて分類する必要がある。
 例えば海水について考えてみよう。

 海水をビーカーに入れ、温度計で温度を測りながら加熱してみよう。温度が上がるにつれて、表面から水蒸気が蒸発していくとともに、底のほうから気泡が上がってくるのが観察される。温度は次第に上昇し100℃を越えてしまう。底から上がってくる気泡はいっそう激しくなっている。このような現象を沸騰という。このとき温度の上昇は止まったように見える。しかし、ていねいに観察すると少しずつではあるが、温度は上昇していることがわかる。なぜだろうか。





 

 濃度の異なる食塩水を凍らせることを考えてみよう。凍る温度すなわち液体が固体に変わる温度を凝固点または氷点という。濃度によって凝固点は変わるだろうか、同じだろうか。
 海水や食塩水の沸点や凝固点は、海水や食塩水の濃度によって変わる。しかし、海水を熱することによって蒸発させた水分を冷やすことによって得た水は、1気圧の下では、0℃で凝固し100℃で沸騰する。(このような水を得るには、どのような装置を組めばよいであろうか。考えてみよ。)        


 

 0℃で凍った水はやはり0℃で解ける。この時の温度を融点という。したがって、凝固点も氷点も融点も同じ温度を表していることになる。これは水だけに限ったことではなくすべての物質についていえる。(すべての物質の融点が0℃であるというのではない。)
 

 同じ気圧の下で測った場合、水のように沸点や融点が一定の物質を純物質という。それにたいして、海水や食塩水のように沸点や融点が一定でないものを混合物という。したがって、混合物は2種類以上の純物質が混ざり合ったものだということができる。  
 

 純物質の中には水や塩化ナトリウム(食塩)のように2種類以上の元素からできているものと、黒鉛(石墨、グラファイト)や水素のように1種類の元素だけからできている物質がある。前者を化合物、後者を単体と呼ぶ。


 

 ところで元素とは何だろうか。ここでは物質を構成している究極のものの種類をさす、としておく。


 


 これまでにでてきた純物質、混合物、化合物、単体について例をあげてまとめると次のように書くことができる。




問い1 次の物質を混合物と純物質に分類し、混合物についてはおもな成分物質名を2つ記せ。
 (ア) 空気       (イ) ヘリウム      (ウ) 窒素 

 (エ) 二酸化炭素    (オ) 海水
 (カ) 水        (キ) 日本酒       (ク) ハンダ
問い2 次の物質を混合物、化合物、単体に分類せよ。
  銅、二酸化炭素、ショ糖、石油、ダイヤモンド
 混合物……(                 )

 化合物……(                 )
 単体………(                 )
問い3 次の文中の下線部の物質は、単体、元素、化合物のいずれを意味しているか。
 (1)  を電気分解すると、陽極に酸素、陰極に水素を生じる。

 
     (2)  過酸化水素を分解すると、酸素が得られ、同時にを生じる。
                 
  (3)  過酸化水素には共通の酸素がふくまれている。
  
  (4)  空気は、窒素酸素が体積比で約4:1に混合した気体である。

 さて、ここで元素を表す記号、すなわち元素記号について学んでおこう。
 物質を構成する元素として、現在109種類の元素が知られている。それらには一つずつアルファベット1字または2字で表す元素記号が決められており、世界中で使用されている。

例 水素      ヘリウム     リチウム       ベリリウム 
  ホウ素     炭素       窒素         酸素

  フッ素     ネオン      ナトリウム      マグネシウム 
  アルミニウム  ケイ素      リン         硫黄 

  塩素      アルゴン     カリウム       カルシウム 

1−2 同素体
 単体というのは、一種類の元素からできている物質のことであるが、ある元素からできている単体は一種類だけかというとそうではなく、同じ元素からできていながら別の物質といっていいような性質の違う単体がある。これらを同素体という。  


 参考 Sn(白色スズ、灰色スズ)

●●● 実験2 硫黄の同素体  ●●●         
目的 硫黄の同素体を観察することにより、同素体の理解を深める。
準備 試験管4、ビーカー300ml 、時計皿、ろうと、ルーペ、試験管ばさみ
   薬さじ、ピンセット、硫黄粉末、二硫化炭素、マッチ、ろ紙 
 注意 硫黄を燃やすと、有毒ガスである二酸化硫黄を発生するので、なるべく燃やさないようにする。
 二硫化炭素の蒸気は、有毒でかつ引火性があるから、注意する。
方法 
 1. 試験管に硫黄粉末を薬さじ(小)1杯入れ、それに二硫化炭素2mlを加え、よく振って溶かす。時計皿に移し、廊下の風通しのよいところに静置する。
 図(a)。方法3.が終わるころに、二硫化炭素は蒸発して斜方硫黄の結晶が残るからルーペで観察する。 
 2. 試験管に1/3ほど硫黄粉末を入れ、試験管を転しながらおだやかに加熱する。全部が融け終わったら、図(b)のようにろ紙に急いで流しこむ。表面が かたまりかけたときにろ紙を開くと、単斜硫黄の結晶が見られる。
 注意 とけた硫黄の色が褐色になるまで加熱してはいけない。
 3. 試験管に1/2ほど硫黄粉末を入れ、転しながら静かに加熱する。温度が上  がるにしたがって、どんな状態になるかを注意深く観察する。硫黄が沸騰したのち再び流動性を示しはじめたら、図(c)のように冷水のはいったビーカーに流しこむ。ゴム状硫黄ができるから、とり出して引きのばしてみよう。
 ◎加熱するにしたがって、色はどのように変化し、流動性はどうなるか。



        98〜122 ℃   
                γ硫黄・・単斜晶系・・針状晶 

問い4 次の位①〜⑤の組み合わせのうち、同素体でないものはどれか。    
  ① 斜方硫黄と単斜硫黄    ② 水素と重水素   ③ 赤リンと黄リン
  ④ ダイヤモンドと黒鉛     ⑤ 酸素とオゾン
                    
 
問い5 次の例を3つずつ記せ。

  混合物  
  化合物 
  単体 


1―3 物質の分離
 混合物の成分を分け、それぞれの純物質を得る操作を分離という。また、分離した物質の純度を高める操作を精製という。
 ここでは基本的な分離の方法を学習する。


  クロマトグラフィー
●●● 実験3 サインペンの色素を分離する ●●● 
目的 サインペンの色素を分離することによって、混合物から純物質を分離する  方法について学ぶとともに、身のまわりの物質についての理解を深める。
準備 試験管10、展開液の入った三角フラスコ100mL 、ろ紙、ゴム栓10、蒸留水 

     試験管立て、はさみ 

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