本当に好きで何度でも楽しんで読める本がいくつあるだろうか。人生の残りが見えて来た今、そういう本を一つでも二つでも良いから捜して見よう。これまでに読んだ本で。
三浦綾子『続・氷点』
不義の子陽子。これを父はどういう論理で許すか? これが本書の最大の課題であった。
三浦哲郎『忍ぶ川』
悲惨という状況をどこまで書くか。果てしもなく悲惨な有様を書けば文学になるのか、と考えて見ればよい。その限度のところまで書いて、その先は書かないという節制の倫理を遺憾なく発揮した作品と呼んでよいだろう。
横溝正史『悪魔の子守唄』
習俗というものは田舎の特権ではない。人間のいるところどこにでもある。その田舎の習俗を知的に使ったからと言ってよい推理小説が書けるものではない。情念と習俗が微妙にからめあって風土の中に溶けているところに本作品の魅力がある。
島田荘司『羽衣伝説の記憶』
三島由紀夫『春の雪』
吉村昭『天狗騒乱』
水上勉『越前竹人形』
坂東眞砂子『狗神』