1.はじめに
戦後行われたいわゆる「生活単元学習理科」1)はの骨格を示すと思われる『昭和二十二年度 学習指導要領理科編(試案)』(文部省)の考察をする。本稿では、第一章 理科の指導目標から、「生活単元学習」にかかわる目標を抜粋し考察した。なお、『昭和二十二年度 学習指導要領理科編(試案)』は国立教育政策研究所の学習指導要領データベース2)による。
2.『学習指導要領理科編(試案)』の構成
『学習指導要領理科編(試案)』の目次は以下のようになっている。第七学年から第九学年というのは中学校のことである。
はじめのことば
第一章 理科の指導目標
第二章 理科学習と児童の発達
第三章 指導内容の一覧表
第四章 理 科 の 指 導 法
第五章 指導結果の考査と活用
第六章 第一学年の理科指導
第七章 第二学年の理科指導
第八章 第三学年の理科指導
第九章 第四学年の理科指導
第十章 第五学年の理科指導
第十一章 第六学年の理科指導
第十二章 第七学年の理科指導
第十三章 第八学年の理科指導
第十四章 第九学年の理科指導
3.『学習指導要領理科編(試案)』 第一章 理科の指導目標 について
『学習指導要領理科編(試案)』の第一章 理科の指導目標では、「すべての人が合理的な生活を営み,いっそうよい生活ができるように」という目標が掲げられており、「児童・生徒の環境にある問題」で身につける点として三点が揚げられ、これはさらに13の具体的な目標として細分されている。そのうち、特に「生活単元学習理科」に関わりのあるのは次の4点である。
4. 機械や器具を使う能力。
6. 健康を保つ習慣
10. 身のまわりの物ごとの間の関係や性質を知るための科学の主な原理と応用に関する知識。
13. 更に進んだ理科学習への準備と職業上必要なものの準備。
これらの目標が特に強調されているわけではないが、具体的な教材として生活に密着したものが採用されることが目標にかなうことが予想される。
4.考察
戦後最初の学習指導要領である『昭和二十二年度 学習指導要領理科編(試案)』第一章 理科の指導目標 においても生活ということが目標になり、さらに具体的な目標の中にも、身の回りの生活にかかわることが揚げられていることがわかる。
5.参考文献
1)学校理科研究会編、『現代教育学講座/第2巻内容編』、明治図書、1986、p.22
学校理科研究会編、『現代教育学講座/第3巻歴史編』、明治図書、1986、p.56
2)国立教育政策研究所 http://www.nier.go.jp/
学習指導要領データベース http://www.nier.go.jp/guideline/