2019年7月17日水曜日

夕凪亭閑話 2012年7月 

    
2012年7月1日。日曜日。雨のち曇り。
雨の日曜日が7月のスタートであった。梅雨の後半であろうか。あるいは終盤であろうか。いずれにせよ、今年の後半が始まった。
メダカ池の中にホテイアオイを入れたら、順調に産卵している。ヒメダカと普通のメダカを分けて産卵させたい。ただ二カ所に分けるだけでは、ヤゴに襲来されて絶滅したらいけないので、やはりリスク分散も配慮しなければいけない。
 
2012年7月2日。月曜日。晴れ。
庇のおおきな帽子に、筒型の手の覆いの若い女性が歩いていた。ちょっと目には越後獅子に見えた。あの美空ひばりの映画で歌を歌う越後獅子である。以前には白づくめでサングラスをかけてバイクに乗っているおばさんを見て、月光仮面の再来かと思った。
そうそう、越後獅子の歌は、竹久夢二の詩とよく似ている。どちらが御本家なのか。
 
 
2012年7月3日。火曜日。雨後曇り。
相対論をよく読んでいる。なぜだ。僕にとってここ数世紀の大事件は2つしかない。一つは1905年のアインシュタインの相対性理論。一般相対論はその一般化だから、1905年に代表させよう。もうひとつは1970年の三島由紀夫の自殺。前者は生前のことで過去形。後者は若い頃の出来事。だから、現在形。だから、こられに関した本はよく読む。
 他はなんだろうか。教養の延長ということにしておこうか。
夕凪亭にもエアコンを入れた。
 
2012年7月5日。木曜日。雨後曇り。
ムシムシした感じ。エアコンフル稼働。
昨日から、ヒッグス粒子が発見されたという騒ぎ。確かに実在が検証さることの意義は大きい。
 
2012年7月10日。火曜日。晴れ。
メダカ誕生。養殖復活。

蒸し暑い日だ。やはり梅雨がまだ終わらないようだ。
一般相対論を読んでいる。テンソルが分かりにくい。一部分かった。大きな進歩。しかし、これで全てがわかったわけではない。杉浦光夫・横沼健雄著「ジョルダン標準形、テンソル代数」を借りてくるが、残念ながら代数のほうで、微分幾何学のテンソルではないということなので、諦める。
伊藤勝彦「最後のロマンティーク 三島由紀夫」を読む。半分ぐらい。こういう常識がほしいものだ。
2012年7月11日。水曜日。雨時々曇り。
伊藤勝彦「最後のロマンティーク 三島由紀夫」(新曜社)終わる。
フョードル・ドストエフスキー著、神西清訳「キリストのヨルカに召された少年」(青空文庫)読む。アンデルセンにも天使になった子どもの話があった。
与謝野源氏「朝顔」終わる。
数学ワンポイント双書(共立出版)というのがあって、その中に「テンソル・その応用」というのがある。借りてきた。第4章曲線座標が今の関心に対応。
グレアム・アレン著、原宏之訳「ロラン・バルト」(青土社)読む。
 
2012年7月12日。木曜日。晴れ。
4時半に起きる。大雨の予報。
少し強く降るが、すぐに止む。
ロラン・バルト著、沢崎浩平訳「テクストの出口」(みすず書房)を読む。
三木清「西田先生のことども」(青空文庫)読む。
西田幾多郎「愚禿親鸞」(青空文庫)読む。
 
2012年7月15日。日曜日。晴れ。
九州では大雨で川が氾濫したり、堤防が壊れたりした。
これまでに経験したことのない大雨というのだから、想像しがたい。
翻って、こちらは昨夜、ほんの小雨がふった程度で、今日はその気配はない。ただ、梅雨の終わりの高温多湿で、まことに暑い。
ホームセンターとスポーツ用品店へ行くと、夏のレジャー用品が山と積まれている。夢があってまことによろしい。
矢野健太郎訳・解説の「リーマン幾何とその応用」にはリーマン、リッチとレビ=チビタ、アインシュタイン、アインシュタインとマイヤーの論文の翻訳と詳しい解説からなる。アインシュタインの2つの論文は選集2にある。リーマンのリーマン幾何学の基礎についての論文の翻訳が世界の名著に含まれていることを知った。
 
迷惑なことによその猫が侵入して塀の上で憩うていた。何を考えているのだろうか。なぜ、よその家がそんなにいいのだ?
 
こんな日は、エアコン無しではやっていけない。改めて中国電力さまへ感謝。
 
2012年7月17日。火曜日。晴れ。
朝から暑い。少し湿気が少なくなったものの不快な暑さ。
九州はまだ雨が降っているのに、中国地方は山口県を除いて梅雨明け。
34℃はあろうかと思われる日中の猛暑。出来ることなら日本から逃げ出したいが、どうしょうもない。

ロラン・バルト「文学のユートピア1942-1954」(渡辺諒訳・みすず書房)は、明快な評論集。「<古典>しか読まない人々と、<古典>をまったく読まない人々の精神は、同じように閉ざされている」(p.43)というのがあるが、これは古典に限らず読書一般についての、コミュニケーションの機能をうまく言い当てている。読書とは極めて個人的な行為だから、それによって人と人とが相互作用をするというようなことは、本来気体すべくもないが、しかし、ある一部の共同体において、あるいはあるい時代において、読書が精神の感応をもたらしたのは事実である。だから、バルトが言うことも、真実に違いない。そしてそれは必ずしも古典に限らないのだ。
2012年7月19日。木曜日。晴れ。
昨日ほどではなかったものの、暑い日であった。
七月が終盤に入り、いよいよ夏本番。といっても、日本の夏は短い。もっと長くてもよいのではないか。ただし、仕事には向いていない。
竹内薫さんの「へんな数式美術館」は素晴らしい本だ。断片的だとの非難もあるかも知れないが、こういう難しい話は、系統的に深入りすると素人は途中でついていけなくなる。だから、難しい理論の中心となる数式を示して、その意味とエピソードで構成する本書のような行き方は、それはそれで結構なことだと思う。ただ、それなら、誰が書いても同じであろう。この書の素晴らしいところは勉強家の竹内さんの教養が溢れ出しているところだろう。見事にサイエンスライターぶりを発揮されている。
 
2012年7月20日。金曜日。晴れ時々雨。
午後から雨予報。なのに昼前から早くもにわか雨。おかげで過ごしやすかった。
サンダー・バイス著、寺嶋英志訳「宇宙がわかる17の方程式 現代物理学入門」も、まず有名な式の紹介から入って、それを作った人物や背景を説明するという、ユニークな入門書で、難しい内容を長く説明しないという意味で、大変読みやすい本になっている。ただ、このような本を読む読者の多くは私を含めて物理学のすべての分野に通暁している訳ではなかろうから、数式の説明そのものにもっと字数をさいてもよいのではなかろうか、と文句が言いたくなる。しかし、これをやり出すと内容が内容だけに途端に難しくなることは請け合いだ。痛し痒しというところか。
 
2012年7月21日。土曜日。晴れ。
土曜日。しまなみ海道を因島へ。外気温は32℃になっていますが、エアコンは入れません。ほとんどの車が窓を閉めて走っているなか、私は孤塁を守って、オープンカーにして走ります。でも4つの窓をすべてオープンにしても、ルーフは残ります。ストリームですから。潮風を思いきり吸って走ります。その潮風が近づいた尾道大橋で西のほうへ目をやると、今話題の黄色い巨大アヒルが見えます。暑い中ごくろうさんです、と思わず声をかけたくなります。29日までin Onomichi ということだそうですから、それまでに孫君が来れば、一緒に見に行くことにいたしましょう。
「明暗」九十三、九十四 、九十五 。やっと主題らしきものがみえてきた。父から送金が止まったのは盆暮れのボーナスによる返済をしなかった、という理由による。悪いのは津田一人である。それをあたかも周囲の人間が悪いと主人公の津田に思わせる。津田はわかっているのに煮え切らない漱石的主人公。
 
2012年7月23日。月曜日。晴れ。
5時過ぎに起きる。蒸し暑い。
「明暗」九十六 九十七。
「大菩薩峠3壬生と島原の巻」八、九を読む。
そうそう、竹内薫さんの「へんな数式美術館」(技術評論社)終了。とはいえ、最後の辺は難しかった。微積のεδには私も大学へ入った年に苦しめられて、嫌になった。必修でしたからね。
 
2012年7月24日。火曜日。晴れ。
「明暗」九十八,九十九、百。
「夜明け前 第一部上」第三章二 半蔵らの江戸行き。黒船来航の詳細を知り,動揺。
時が流れるだけではない。人の心に変化が起こっていて、時代が変わる。人の心に変化が起こっていなければ、維新も革命を起こらないということを藤村は知っている。
「大菩薩峠3壬生と島原の巻」十、十一。
こう暑くては、調子が出ない。二三日和らいでいた猛暑がまた戻ってきた感じだ。
今日は整体の日。少し軽くなった。その後で、いつものように散歩。
 
2012年7月26日。木曜日。晴れ。
昨日から高梁市備中町の西山高原キャンプ場へいって、キャンプしてきました。備中湖(成羽川ダムのこと)の北側の山の上で涼しく眺望もよいところでした。
本日は近くの恋ヶ窪湿原を見に行ってきました。とはいえ本当の湿原は池の向こうで、石清水には詣らずに帰ってきました。事務所の裏にもたくさんありましたから、よしとしましょう。
サンダー・バイス著、寺嶋英志訳「宇宙がわかる17の方程式」(青土社)終わる。
 
2012年7月27日。金曜日。晴れ。
日に日に暑くなる。シロアリ監視調査。
 
2012年7月28日。土曜日。晴れ。
暑い。買い物。
あとは夕方まで家の中。エアコンの中。
広瀬立成著「図解雑学 超ひも理論」(ナツメ社)読む。やはり、難しい。
孫君来る。
 
2012年7月29日。日曜日。晴れ。
尾道駅前へ、巨大アヒルを見に行ってきた。なつかしい尾道駅前。ちょうど、アヒルを浮かべているあたりが尾道駅前桟橋があった。瀬戸田行き、今治行き、因島西回り、因島東回り、それから浦崎とか百島とか田島とか、沼隈方面へも出ていた。少し東側に、尾道中央桟橋というのもあったのだが、大学時代には、おそらく利用されていなかったのではないか。
駅前のようすの様変わりにも、驚いた。かつての面影を探すのにとまどう。モダンでいいといえば言える。
その後、因島へ。
 
2012年7月31日。火曜日。晴れ。
7月も今日で終わり。明日からは8月。益々猛暑が盛んになる。でも、9月になれば、秋らしくなるだろうから、もう少しのがまん。
今週は孫君のおしゃべりで、連日にぎやか。
本日は福山市で36℃。
 
 
今年36冊目。
伊藤勝彦著「最後のロマンティーク 三島由紀夫」(新曜社)。
今年37冊目。
グレアム・アレン著、原宏之訳「ロラン・バルト」(青土社)。
今年38冊目。
ロラン・バルト著、沢崎浩平訳「テクストの出口」(みすず書房)。
今年39冊目。
ロラン・バルト著、渡辺諒訳「文学のユートピア1942-1954」(みすず書房)。
今年40冊目。
竹内薫著「へんな数式美術館」(技術評論社)。
今年41冊目。
サンダー・バイス著、寺嶋英志訳「宇宙がわかる17の方程式」(青土社)。
今年42冊目。
広瀬立成著「図解雑学 超ひも理論」(ナツメ社)。